「色」と私たちの不思議な関係
- tomonoworks3
- 5月12日
- 読了時間: 4分
こんにちは、TOMONO Works です。
今朝、とても興味深いニュースを耳にしました。あるお菓子メーカーがパッケージデザインを「白黒」にするそうです。
背景には世界情勢にともなう、やむを得ない決断があるとのことですが、色に溢れた現代において、この「白黒」は逆にとても新鮮で、センセーショナルに映る気がします。
そこで今日は、私たちが当たり前に受け取っている「色」の正体と、その歴史について少し深掘りしてみたいと思います。
1. 色の認識は「生きるためのセンサー」だった?
私たちが色を見分けられるようになったのには、実は「生き残るための戦略」が深く関わっています。
そもそも色の正体は、物体に反射した「光」の波長。それを目の細胞がキャッチして、脳が「これは赤だ」と判断しています。
大昔、人類の祖先にとって色は「食べられるかどうか」を見分けるための、命に関わる重要な情報でした。
特に、人間を含む一部の霊長類がこれほど鮮やかに「赤」を見分けられるようになったのは、「生い茂る緑の葉っぱの中から、熟した赤い果実を見つけるため」という説が有力なんです。
もし色が見えなかったら、先祖たちは栄養のある食べ物を見逃していたかもしれません。私たちが今、美しい料理やワイン、カラフルな服を楽しめるのは、命を繋ごうとした祖先からのギフトと言えるかもしれませんね。
2. 「色」の価値はいくら? 宝石を砕いてまで作成された「青」
サバイバルから一転、人類は進化とともに、色に「意味」や「願い」を込めるようになりました。数万年前の洞窟壁画では、土や炭を使って「祈り」を記録し、文明が発達すると、色は「権威」の象徴となりました。
例えば、かつての「青」はとても貴重なものでした。
美しい青色を作るには、ラピスラズリという宝石を粉にするしかなく、時には「金(ゴールド)」以上の価値があったと言われています。宝石から生まれた「青」を使った歴史的産物をいくつか紹介したいと思います。
1. ツタンカーメンの黄金のマスク(エジプト)
紀元前1300年代、古代エジプトの若き王、ツタンカーメンのマスクには本物のラピスラズリがふんだんに使われています。
使われている場所: 目の周りのアイラインや、眉毛の濃い青色の部分です。
背景: 当時のエジプトでは、この青色は「天空」や「神」を象徴する神聖な色と考えられていました。金と青のコントラストは、まさに王の権威の象徴でした。
2. フェルメール『真珠の耳飾りの少女』(オランダ)
17世紀の画家フェルメールが描いた、別名「青いターバンの少女」です。
使われている場所: 少女の頭に巻かれた鮮やかな青いターバンです。
背景: 宝石ラピスラズリを砕いて作った最高級の顔料「ウルトラマリン」を贅沢に使っています。当時、この顔料は「金(ゴールド)よりも高価」と言われており、あまりに高価な絵の具を使いすぎたことが、フェルメールが借金を抱えた理由の一つとも言われています。この青は「フェルメール・ブルー」として今も世界中で愛されています。
3. 正倉院の「紺玉の帯(こんぎょくのおび)」(日本)
日本でも奈良時代にはすでに、シルクロードを通ってこの「青」が届いていました。
使われている場所: 聖武天皇ゆかりの品々が収められている正倉院の宝物の中に、ラピスラズリ(瑠璃)を飾ったベルトが残されています。
背景: 日本ではラピスラズリは「瑠璃(るり)」と呼ばれ、仏教の七宝(しっぽう)の一つとして大切にされてきました。
4. クレオパトラのアイシャドウ
これは現存する「物」ではありませんが、歴史上のエピソードとして有名です。
背景: 古代エジプトの女王クレオパトラは、ラピスラズリを粉末状にして、青いアイシャドウとしてまぶたに塗っていたと伝えられています。宝石を顔に塗るという、究極の贅沢ですね。
こんな高貴な「青」が、現代の私たちでも目にできる場所があるのですね。
白黒が教えてくれること
私たちが何気なく選んでいる洋服の色、そしてお菓子のパッケージ。
それは、祖先が磨き上げた「目」と、歴史の中で人々が追い求めた「美」の結晶です。
そんな中で登場する、あえての「白黒パッケージ」。
情報や色が溢れすぎている今、あえて色を削ぎ落としたシンプルな姿を眺めることは、私たちに「色の大切さや意義」をもう一度立ち止まって考えさせてくれる、良いきっかけになるかもしれません。
さて、そんな色の不思議に思いを馳せつつ……。
来週、私は「自然な青」に会いに沖縄へと旅立ちます。
南の島で出会う色のエピソードは、また後日このブログでご紹介しますね。どうぞお楽しみに!





コメント